入ってみないとわからない会社の落とし穴|わたしが踏み抜いた“地雷コレクション”

退職後・再スタート

前回の記事で、わたしはこう告白しました。 「焦って次を決めて、入ってみて初めてわかった失敗もした」——と。

はい、今日はその回収編です。そして白状します。わたし、落とし穴を踏み抜くことにかけては、たぶん県大会くらいなら優勝できます。

求人票って、会社のいちばんいい“盛れてる自撮り”みたいなものなんですよ。給料も休みも雰囲気も、紙の上ではフィルター全開でキラッキラ。でも実物は、入ってみないと加工が剥がれない。

そんなわけで、これまでに全身で踏み抜いてきた地雷を、ここに供養します。題して「るみみん地雷コレクション 〜あなたは踏むな〜」。一般論はゼロ、全部わたしが実際にやられた話です。各ネタのうしろには、「これ先に聞いてれば回避できた…!」という魔法の質問を付けました。わたしの屍、ぜひ踏み台にしてください。

※制度・ルールは2026年時点。お金や法律のしくみは変わるので、気になる部分は記事末の公式サイトでも確認してくださいね(ここだけ真顔)。


  1. 落とし穴は、だいたいこの3エリアに埋まっている
  2. 第1ステージ|お金まわり「給料の額」だけ見てると、財布が泣く
    1. 地雷① 社保だと思ったら、まさかの国保(危険度:★★★☆☆)
    2. 地雷② 基本給に“みなし残業45時間”が、しれっと同居(危険度:★★★★☆)
    3. 地雷③ 「賞与あり(業績による)」の“による”が仕事しすぎ(危険度:★★★☆☆)
    4. 地雷④ 昇給あり!……年500円。しかも40歳で店じまい(危険度:★★☆☆☆)
    5. 地雷⑤ 交通費ゼロ+駐車場は自腹(危険度:★★★☆☆)
  3. 第2ステージ|働き方 求人票の“きれいな言葉”、翻訳します
    1. 地雷⑥ 「残業ほぼなし」→ 実際は月20時間超
    2. 地雷⑦ 「土日祝休み」→ 土曜と祝日はだいたい出勤
    3. 地雷⑧ 「休憩あり」→ 忙しすぎて昼休みが消滅
    4. 地雷⑨ 「営業事務」で応募 → 中身は総務だった
    5. 地雷⑩ 「在宅ワーク」→ 在宅できる要素、どこ?(危険度:★★★★☆)
    6. 地雷⑪ 「転勤なし」→ 転勤/「試用期間なし」→ あった
  4. 第3ステージ|人と空気 数字に出ない、ラスボスゾーン
    1. 地雷⑫ 「アットホームな職場です」→ ふたを開けたらバトルロイヤル(危険度:★★★★★)
    2. 地雷⑬ 社長の出退勤に、全社員がシンクロ(危険度:★★★★☆)
    3. 地雷⑭ 飲み会は強制、社員旅行代は毎月天引き(行かない人も)(危険度:★★★★☆)
    4. 地雷⑮ 社長が通ると45度でお辞儀、通りすぎるまで顔を上げてはならぬ(危険度:殿堂入り)
    5. おまけ:いちばんヤバかった会社の話(ここだけ真顔)
  5. 「入る前に」できる、自衛の5か条
  6. おわりに|踏んでも死なない。でも、踏まないに越したことはない
  7. あわせて読みたい
  8. 参考・出典(2026年時点)

落とし穴は、だいたいこの3エリアに埋まっている

  • 第1ステージ:お金まわり(手取りと、見えない出費)
  • 第2ステージ:働き方(求人票の言葉 vs 実際の毎日)
  • 第3ステージ:人と空気(数字に出ない、ラスボスゾーン)

ステージ制のゲームだと思ってください。では、いってみましょう。


第1ステージ|お金まわり「給料の額」だけ見てると、財布が泣く

地雷① 社保だと思ったら、まさかの国保(危険度:★★★☆☆)

司法書士事務所に入ったときのこと。当然のように社会保険に入れると思っていたら、入社初日にサラッと「うちは国保です」。心の中の自分が「いま、なんて?」って二度見しました。

タネを明かすと——法人(株式会社など)は業種も人数も関係なく社会保険が原則強制。でも小さな個人事業所だと話がちがうんです。士業(弁護士・税理士・司法書士など)の個人事務所は長らく対象外で、2026年時点では「常時5人以上」で社保が強制になる一方、人数が少ない個人事務所だと、職場の社保がなく国民健康保険・国民年金になることがあります。

つまり違法ではないし、国保が悪いわけでもありません(自営業やフリーランスの方には国保のほうが合うケースも多いですよね)。問題はあくまで「社保だと思って入ったら、ちがった」というギャップのほう。

というのも、会社員として働くなら、社保のほうがありがたい場面があるんです。社保は保険料を会社と折半してくれるし、病気やケガで働けないときの傷病手当金もある。将来の年金も厚生年金が上乗せされます。会社の社保を期待していたのに無かった、となると、このあたりが基本ぜんぶ自分もちに。だから「悪い・良い」ではなく、入る前に“どっちなのか”を知っておきたい——そういう落とし穴です。

🪄 魔法の質問 「健康保険と厚生年金(社会保険)には加入できますか?」 求人票の「社保完備」の有無もチェック。書いてない=無い可能性、です。

地雷② 基本給に“みなし残業45時間”が、しれっと同居(危険度:★★★★☆)

ある会社の給料、なんか高めでいいじゃ〜んと思っていたら、基本給に45時間ぶんの固定残業代が同居していました。同棲してたなら先に言って。

これ、何が起きるかというと、45時間までは、どんなに残業しても給料は1円も増えません。 高く見えた基本給は、残業代を先払いで“込み”にしていただけ、というオチ。

固定残業代そのものは違法ではないんです。ただ本来は「何時間ぶんでいくらか」が明示されていて、「超えた分は別途支払い」が必要。そこがフワッとしてたら、目を細めていいサインです。

🪄 魔法の質問 「固定残業代は月何時間ぶんですか? それを超えた分は別で出ますか?」

地雷③ 「賞与あり(業績による)」の“による”が仕事しすぎ(危険度:★★★☆☆)

「賞与2.0か月」と聞いてウキウキしていたら、実際に出たのは0.5か月。さらに、出ない年もありました。残りの1.5か月はどこへ…?

賞与は法律で「必ず出せ」と決まってはいません。「業績による」は、ゼロもあり得るという呪文だと思っておくのが安全です。

🪄 魔法の質問 「賞与の“支給実績”は、直近で何か月分くらいでしたか?」 ——“規定”ではなく“実績”を聞くのがプロのワザ。

地雷④ 昇給あり!……年500円。しかも40歳で店じまい(危険度:★★☆☆☆)

「昇給あり」と聞いて安心していたら、上がったのは年500円。自販機のジュース1.5本ぶんです。さらに別の会社では、昇給は40歳まで。以降は無しという早期閉店っぷり。

「昇給あり」は、額も期間も保証してくれません。中身を聞かないと、“ある”の二文字だけが元気に独り歩きします。

🪄 魔法の質問 「昇給は、だいたい年いくらくらい上がっていますか? 年齢などの上限はありますか?」

地雷⑤ 交通費ゼロ+駐車場は自腹(危険度:★★★☆☆)

求人票に書いてなかったけど、入ったら交通費は月5,000円が自腹。そのうえ車通勤マストの場所なのに、駐車場代は月8,000円の自己負担

合計で月13,000円、年間およそ15.6万円。給料の額面には絶対に出てこない、ステルス減給です。働く前から軽くマイナススタート。

🪄 魔法の質問 「交通費は出ますか?(上限は?) 車通勤の場合、駐車場代は会社負担ですか?」


第2ステージ|働き方 求人票の“きれいな言葉”、翻訳します

求人票には独自言語があります。ここでは実例とともに翻訳していきましょう。

地雷⑥ 「残業ほぼなし」→ 実際は月20時間超

“ほぼ”の守備範囲、広すぎ問題。しかも先ほどの固定残業代と合体すると「残業しても給料そのまま、時間だけ増える」という、もはや手品みたいな現象が起きます。

地雷⑦ 「土日祝休み」→ 土曜と祝日はだいたい出勤

カレンダーどおり休めると思ったら大まちがい。求人票の「(※会社カレンダーによる)」の小さなカッコ書き、あれは本気で読むやつです。

地雷⑧ 「休憩あり」→ 忙しすぎて昼休みが消滅

制度としての昼休みはある。でも忙しすぎて取れない。 ある/取れる、は別の生き物です。おにぎり片手にダッシュ。

地雷⑨ 「営業事務」で応募 → 中身は総務だった

ふたを開けたら職種ガチャでハズレ。やりたかった仕事は、いずこ。

地雷⑩ 「在宅ワーク」→ 在宅できる要素、どこ?(危険度:★★★★☆)

これは殿堂入りです。在宅と言われて入ったのに——

  • 実際は毎日、東京や大阪へ出張・営業。事務所がないだけで、そもそも家でできる仕事じゃない。“在宅”じゃなくて“住所不定”では?
  • おまけに家に会社の荷物がジャンジャン届く。 部屋が倉庫に進化し、わたしの生活スペースが段ボールに侵略される。

「在宅」って言葉、定義を確認しないと自宅が支店になります。

地雷⑪ 「転勤なし」→ 転勤/「試用期間なし」→ あった

口頭で「転勤なし」と言われて入ったのに転勤。「試用期間ない」と言われたのにあった口約束は、空気と同じで残らない。

😏 ここで朗報(地味にデカい) 2026年時点では、2024年4月から「就業場所・業務の“変更の範囲”」を書面で明示することが、すべての労働契約で義務化されています。つまり「転勤あるの?」「別の職種に回される?」が、書面で確認できるようになった。 さらに、書面で示された労働条件が実際とちがったら、労働者はすぐに契約を解除できるルール(労働基準法)も。だから合言葉は「口約束より、書面くれ。

🪄 魔法の質問(働き方まとめ) ・「残業は平均で月どのくらいですか?」 ・「土日祝のほかに出勤日はありますか?」 ・「就業場所・業務の“変更の範囲”を教えてください(転勤・職種変更の可能性)」 ・「試用期間はありますか? 本採用と何がちがいますか?」


第3ステージ|人と空気 数字に出ない、ラスボスゾーン

ここがいちばん厄介。求人票にも数字にも出てこないのに、いちばんHPを削ってくるエリアです。

地雷⑫ 「アットホームな職場です」→ ふたを開けたらバトルロイヤル(危険度:★★★★★)

声を大にして言わせてください。「アットホーム」は、いったん身構えていい四文字。

わたしが入った職場では、成績が良いとねたまれて、データを故意に消されるという、しっとり陰湿なやつが発生。しかも被害者はわたしだけじゃない。アットホームのつもりが、ガチのホームバトルでした。「仲が良いのは“一部の人だけ」というオチ、よくあります。

地雷⑬ 社長の出退勤に、全社員がシンクロ(危険度:★★★★☆)

定時は9:00〜17:00。なのに、社長が気まぐれで朝6時に出社する日は、全員6時前集合。 社長が17時に帰る日は、17時すぎまで帰れない。そして超過分はサービス(無料)。社長の体内時計が、そのまま就業規則。社長、あなたは太陽か。

地雷⑭ 飲み会は強制、社員旅行代は毎月天引き(行かない人も)(危険度:★★★★☆)

飲み会は強制参加。さらに社員旅行の積立を、行かない人からも毎月給料天引き。 行かないのに払う旅行、それはもう寄付。

ちなみに——税金や社会保険など法定のものを除いて、給料から勝手に天引きするには、会社と従業員代表との取り決め(労使協定)が必要です。「当たり前に引かれてるお金」、一度じっと見てみる価値ありです。

地雷⑮ 社長が通ると45度でお辞儀、通りすぎるまで顔を上げてはならぬ(危険度:殿堂入り)

ラスト、これはもう笑ってください。社長が目の前を通るときは45度でお辞儀。通りすぎるまで顔を上げてはいけない。
……何時代? 参勤交代? お殿様のお通りだ的なやつ? ( ゚Д゚)
しかも、ここからが本番。お辞儀が下手だと、社歴何年だろうと“県外のお辞儀研修”に送られます。 ベテランも新入社員に混ざって、ひたすら頭を下げる練習。……お辞儀に、英才教育。
笑い話なんですが、こういう“謎ルール”は、その会社の力関係と空気のレントゲン写真です。面接や見学のとき、社員どうしの距離感や、社長への接し方には、けっこう本音がにじみ出ます。

おまけ:いちばんヤバかった会社の話(ここだけ真顔)

正直に言うと、人生でいちばんしんどかった会社では——残業120時間超、深夜2時まで帰れず車中泊、朝お風呂だけ入って6時に再出勤、休日も家にPC持ち帰り、半年まるまる休めず、グループLINEで罵倒、同僚が診断書を出してもほぼ無視……。入社前、こんな話はひとことも聞いてません。

ここはさすがに笑えないので、くわしくは“逃げていいサイン”の記事に置いてあります(記事末リンク)。今日は軽い回なので、このへんで真顔をしまいます。

🪄 魔法の質問(人・空気編) ・面接や見学で、社員の表情・会話・社長への態度をこっそり観察 ・「みなさんの平均的な勤続年数は?」「最近辞めた方が多い部署は?」とやんわり質問 ・同じ求人がずーっと出っぱなしじゃないか(=回転寿司並みの離職サイン)


「入る前に」できる、自衛の5か条

とはいえ面接でぜんぶズバズバ聞いたら、こっちが地雷扱いされます。なのでカドを立てずに守るコツを。

  1. 内定が出たら「労働条件通知書」を必ずもらう。 口約束を“文字”にしてもらうのが最強の盾。書面と実態がちがえば、それが交渉や退職の根拠になります。
  2. 逆質問はやわらかく。 例「働き方のイメージを掴みたくて……残業は平均どのくらいですか?」「社会保険や交通費も教えていただけますか?」
  3. 求人の出っぱなし・口コミ・離職率をチェック。 万年募集中は、何かしらの煙が出ています。
  4. 「変更の範囲」欄を見る。 転勤・職種変更の可能性が書面でわかります(2024年4月〜)。
  5. 自分の“違和感メモ”を信じる。 あの面接官の態度、あの空気、あの説明のフワッと感。直感はだいたい当たる。

おわりに|踏んでも死なない。でも、踏まないに越したことはない

ここまで読んで「そんなの入る前にわからんて…」と思った方。だいじょうぶ、それが普通です。隠してる会社が悪いのであって、見抜けなかったあなたは1ミリも悪くありません。

でも、知ってれば質問できる。違和感に気づける。 それだけで、踏む地雷はごっそり減ります。

わたしはまあ、踏みました。盛大に踏みました。おかげで今や地雷探知機が標準搭載されています。ブラック育ち、伊達じゃない(笑)。だからこの記事は、わたしの屍を踏み台にして、あなたは華麗にスキップで次へ行ってほしいという気持ちで書きました。

次の会社えらびが、ちょっとでもごきげんなものになりますように。


あわせて読みたい


参考・出典(2026年時点)

  • 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」(就業場所・業務の変更の範囲の明示など)
  • 日本年金機構/厚生労働省「健康保険・厚生年金保険の適用業種(士業)の追加(令和4年10月施行)」「適用事業所と被保険者」
  • 労働基準法(第15条:労働条件の明示/第24条:賃金全額払いの原則)

※制度や数字は改正されることがあります。最新の情報は、上記の公的機関の公式サイトでご確認ください。

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