会社を辞める前の準備リスト|後悔しないための7つのチェック

ブラック企業・退職

前回の記事([会社を辞めた方がいいサイン])の最後で、私はこう正直に書きました。

私は、確実な次のあてもないまま、ほとんど勢いで辞めてしまいました。(一応の目処はありましたが、どうなるか全くわからない綱渡り状態でした)

体も心ももう限界で、「とにかくこの場所から離れたい」その一心でした。あの決断を後悔はしていません。でも――辞めたあとの数か月を思い出すと、「もう少しだけ準備していたら、気持ち的にずっとラクだったな」とも思うんです。

この記事は、あなたを煽るためでも、急かすためでもありません。
「いつか辞める日」が来たときに、できるだけ傷を少なく、安心して次の一歩を踏み出せるように。私が”先に知っておきたかった”ことを、リストにまとめました。

今すぐ全部やる必要はありません。できそうなものから、ひとつずつ。それで大丈夫です。


① まず「生活費」を数えておく(いちばん最初)

辞めてから次の収入が入るまでには、どうしても”空白”ができます。その空白を埋めるのが、貯金(生活防衛資金)です。

ひとつの目安は、毎月の生活費の3〜6か月分。転職活動がどのくらいかかるか、失業保険がいつ入るか(これは後で説明します)で必要額は変わりますが、「これだけあれば、しばらくは食べていける」という金額を、先に把握しておくだけで気持ちがまるで違います。

私はここを完全に甘く見ていました。辞めた翌月から、もちろん収入はゼロ。思っていたより貯金の減りが早くて、せっかく逃げ出したのに、今度はお金のことで悩む毎日が始まりました。

さらに追い打ちをかけるのが、「住民税」のトラップです。

退職すると、これまでお給料から天引きされていた住民税の支払い方法が変わります。辞める時期によっては、最後のお給料から残りの住民税がドカンと一括で引かれて、「えっ、手取りこれだけ!?」と本気で焦ります。

逆に一括で引かれなかった場合は、忘れた頃に役所から「自分で払ってくださいね」と納付書がドサッと届きます。収入がない時期に届くこの納付書……それも本気で焦ります。

最後の給料をあてにしている方や、ギリギリの貯金でなんとかしようと思っている方は、この「税金が容赦なく襲ってくる」という心構えを絶対にしておいてくださいね。
こうした隠れた出費も含めて、先に数えておけば避けられた不安でした。


② 失業保険(失業手当)のしくみを、辞める前に知っておく

雇用保険に入っていれば、退職後に失業手当を受け取れる可能性があります。これは生活費の空白を埋めてくれる、大事な制度です。

ただし、受け取れる条件と”もらえるまでの時間”を、辞める前に知っておいてほしいんです。

  • 受給の条件(自己都合の場合):原則、過去2年間に雇用保険の加入期間が通算12か月以上あること。
  • もらえるまでの流れ(自己都合):ハローワークで手続きしたあと、まず7日間の「待期期間」。さらに「給付制限」があります。
  • 2025年4月の改正:この給付制限が、それまでの2か月から1か月に短縮されました(離職日が2025年4月1日以降の場合)。ただし、5年以内に3回以上自己都合で辞めていると3か月になります。

つまり自己都合だと、申請してから最初の入金まで、だいたい1か月半ほどかかる計算になります。だからこそ、①の生活費が効いてくるんですね。

もらえる金額・日数は、年齢・勤続年数・お給料の額で人それぞれ変わります。自分のケースは、必ずお住まいの地域のハローワークで確認してください。


③ 「会社都合(特定受給資格者)」になれないか確認する ← いちばん伝えたいこと

ここが、この記事でいちばん知ってほしいところです。

実は失業手当には、「特定受給資格者」という区分があります。これに認められると、さっきの給付制限がなくなり(7日の待期だけで支給が始まる)、もらえる日数も手厚くなります。

そして――ブラックな働き方をしていた人は、ここに当てはまる場合があるんです。

たとえば長時間労働を理由にした退職では、離職前6か月のうちに次のどれかがあると、特定受給資格者と判断される可能性があります(厚生労働省の基準)。

  • 3か月連続で、月45時間を超える残業があった
  • いずれかの月で、100時間を超える残業があった
  • 2〜6か月の平均で、月80時間を超える残業があった

私は、残業が120時間を超える月がありました。今になって思えば、私もここに当てはまっていたのかもしれません。でも当時はこの制度の存在すら知らず、「自己都合」のまま、勢いで辞めてしまった。もし知っていたら……と、これは今でも少し悔しく思っています。

「会社に”自己都合”と言われたから」と、最初から諦めないでください。残業の記録などの証拠があれば、ハローワークが判断してくれます。 だから、次の④がとても大事になります。


④ 「証拠」は、辞める前にしか集められない

③で必要になる証拠――長時間労働を示すものは、在職中の今しか手に入りません。 辞めてしまうと、会社のシステムにはもう入れなくなるからです。

たとえば、こんなものが記録になります。

  • タイムカード・勤怠データ
  • 給与明細(残業代の記載)
  • シフト表
  • 深夜・休日に送った業務メールの送信時刻
  • 自分の手帳やスマホに残した「何時まで働いたか」のメモ

完璧でなくて大丈夫。自分の控えとして、写真を撮る・コピーする・メモに残しておく。これだけで、あとから自分を守る材料になります。

これは残業だけでなく、ハラスメントや給料の未払いがあった場合も同じです。記録は、いちばん身近なお守りです。


⑤ 有給休暇の残りを確認して使う

意外と忘れられがちなのが、残っている有給休暇です。退職するときに、残った有給は使い切ることができます(労働者の権利です)。

引き継ぎとの兼ね合いはありますが、丸ごと捨てる必要はありません。最後の有給期間は、体力と気持ちの回復、転職活動、各種手続きの時間にあてられます。

私は有給をほとんど残したまま辞めてしまいました。今思うと、本当にもったいなかった。あなたには、ちゃんと使ってほしいです。


⑥ 健康保険と年金の「切り替え」を、先に把握しておく

会社を辞めると、これまで自動で引かれていた健康保険や年金が、自分で手続きするものに切り替わります。空白を作らないために、流れだけでも先に知っておくと安心です。

  • 健康保険:「任意継続(会社の保険をそのまま続ける/最長2年)」か、「国民健康保険(市区町村で加入)」のどちらかを選びます。保険料を比べて、安いほうを選ぶのがコツです。
    そして、③でお話しした「特定受給資格者(や特定理由離職者)」に認められた人には、ここでもうれしい優遇があります。国民健康保険料を計算するとき、前年のお給料を実際の30%とみなして安くしてくれる軽減制度があるんです(申請が必要・離職理由がわかる雇用保険受給資格者証を持って、お住まいの市区町村の窓口へ)。任意継続と国保で迷ったとき、この軽減のおかげで国保のほうが安くなることもあります。
  • 年金:厚生年金から国民年金に切り替わります。国民年金は2026年時点で月額17,510円。収入がない時期は、保険料の免除・猶予の制度もあります。

手続きには「退職後◯日以内」といった期限があるものもあります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口や、加入していた健康保険組合(協会けんぽなど)で確認してください。


⑦ そして、「余力」を残して動く

最後に、いちばん大切なことを。

前回の記事でも書きましたが、限界まで我慢してから辞めると、準備をする力さえ残っていません。 ①〜⑥を進めるにも、ほんの少しの元気が要るんです。だから本当は、まだ動ける余力があるうちに、ひとつずつ手をつけ始めるのが理想です。

……でも、もし今あなたが、もう限界なら。
準備が完璧じゃなくても、逃げていいです。命と健康がいちばん。順番は、人それぞれでいいんです。準備は、できる範囲で。


おわりに:準備は「不安をなくすため」じゃなく、「自分を守るお守り」

ここまで7つ挙げましたが、全部できなくて大丈夫です。

準備は、不安をゼロにするためのものではありません。いざというときの自分を、ちょっとだけ守ってくれるお守りです。ひとつでも手をつけたら、それだけで足元が少し固くなります。

だから、焦らないで。期限を自分で切らなくていい。今日はこの記事を読んだ、それだけで十分な一歩です。

そして、準備が少し整ってきたら――次に気になるのは、たぶん「どう切り出すか」だと思います。引き止められずに、こじれずに辞めるコツは、次の記事にまとめます。

👉 [引き止められない退職の切り出し方]

まだ「辞めるべきか迷っている」段階の方は、こちらの記事もどうぞ。
👉 [会社を辞めた方がいいサイン|心と体が出す”本当の危険信号“]


この記事は、私自身の経験と、公開されている制度の情報をもとに書いています。失業保険・健康保険・年金などの取り扱いは、あなたの状況によって変わります。実際の手続きや判断は、ハローワーク・市区町村の窓口など、公的な窓口で確認してくださいね。

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